社団法人 日本テレワーク協会

  



人は城、人は石垣、人は堀

 


テレワークNEXTいざ出陣!

 


現在も、そして今後はより一層、少子高齢化、労働人口の減少等により人材確保が難しくなると言われていますが、その困難さは企業規模や業種、求める人材のカテゴリーによっても異なります。

 

このセクションでは
 
 
 
 
 
 
 
 
というテーマで課題、対策、事例、ソリューションを解説します。


 

フルタイム就業可能な人材の採用難は近年加速している

フルタイム就業可能な人材の求人倍率は1.9倍程度一方家庭の事情等で短時間勤務を希望する人材の求人倍率は0.3倍程度となっています。

 

多様な働き方を推進するという政府方針があるにもかかわらず、働きたい人が働けない現実があります。

 

企業には人材採用のために多様な働き方への理解を深めてもらい、テレワークを希望する人材採用の取り組みが進められないか、検討の余地があるかと思われます。

 


 

テレワークの推進とDXの推進は不可分の関係

テレワーク推進していかないと、そもそも多様な働き方を希望するであろう優秀なデジタル人材の確保が難しくなります。

 

また、そもそもテレワークを推進するためには、情報通信ツールやデジタルを前提とした業務を設計し導入する必要があるため、デジタル人材が採用されていることが望ましいです。

 

デジタル人材を採用するために人材会社に依頼する場合にも、紹介手数料をどうやって抑制するか工夫する必要があります。

 

デジタル人材を最初からフルタイムで雇用するのではなく、個人事業主や業務委託契約で副業という形態で働いてもらう検討も必要です。

 


 

必要な人材を採用ではなく、業務委託で確保する

経団連発行の「副業・兼業の促進 働き方改革フェーズⅡと エンゲージメント向上を目指して」(2021年10月)によれば、自社社員が個人事業主や業務委託で副業・兼業すること、逆にそういった働き手を受け入れることが人材育成や確保の手段として認知されつつある様子がうかがえます。

 

経団連によれば働き方改革フェーズⅡとはエンゲージメントを高めることでアウトプット最大化 (質の向上・多様化) を図り、飛躍的な労働生産性の向上を実現することとしています。エンゲージメントを向上させるには働きやすさと働きがいを実現する必要があり、前者の1手段としてテレワークの更なる高度化が重要と考えられます。

 


 

 

在宅ワーカーが活躍できるキーポイントは?

自宅で自律的に計画通り仕事を進める必要がある在宅ワーカーには、そのノウハウを教えて、そして実際にできるようになるまで見守る必要がありますし、在宅ワーカーを活用したい企業も、そのノウハウを習得いただく必要があります。

 

その上で在宅ワーカーと企業をマッチングさせていく仕組みを整備することが重要であり、3つ揃って初めて在宅ワーカーが活躍できる社会が実現できると考えています。

 


 

テレワークを活用した人材育成(事例)

 

大同生命様は勤務地限定社員が、テレワークで東京本社や大阪本社の業務に従事する、「どこでもホンシャ」の取組みを進めています。

 

従来の社内公募制による地方から本社への異動は、転居や単身赴任を前提としていましたが、完全にテレワークで勤務可能とした結果、家庭の事情などで地方でしか勤務できなかった方も挑戦できるようになりました。

 

キャリアパスが増えたことが、社内で非常に前向きに受けとめられています。

 


大同生命保険株式会社矢達様

 

 

多様な部下を伸ばす管理職を育成する(事例)

 

キヤノンマーケティングジャパン様では部下一人ひとりの個性に対応した人材マネジメントを定着させるために、管理職向けの研修を継続的に行っています。

 

研修は上司と部下の価値観をお互いに理解し合うことからスタートします。

 

一人ひとりの強み、弱みや興味関心など、多様な価値観を持つ部下を動機付けし、仕事を任せる人材マネジメントを推進しています。

 

もはや上司が部下にOJTのみを通じて仕事のやり方をたたき込んでいく時代ではありません。社員一人ひとりの価値観に寄り添い、キャリアの実現を支援することが大切です。

 

 


 

 

小企業はテレワークどころではない!?

パソコンも1人1台渡っておらず、業務上の課題やプロセスを分析する慣行がない小企業は多く、テレワークどころかIT化もままならいない状態です。

 

まずは導入コストがかからないノーコードソリューションを使ってみて何ができるのか知るところからスタートし、関心が高まったところで、業務上の課題を抽出し、ITで何ができるか考えるところから具体的なIT化の検討を進める必要があります。

 

テレワークもITで何ができるか?の1つとして検討してはいかがでしょうか?

 


 

小企業(印刷業)はIT化、テレワークで生き残る

「会社案内をネットでも発信したい、データはネットで共有する」。といった今まで紙と写真で原稿をくれていたお客様の、新しいやり方を習得して生き残っていくには、社員がパソコンを使いこなしていく必要があります。

 

IT化やテレワークが未整備な取引先には、社員が先生役となってやり方を教えています。

 

お客様に教えられ、教える。それで社員が成長し、業務効率化や事業領域の拡大につながっています。

 


 

 

社員7名の大和印刷がテレワークする理由(事例)

小企業は1人欠けても代わりがいません。たとえ家庭の事情で出勤できなくても、家族の面倒を見るために時短勤務になっても、テレワークで社員が辞めずに仕事を続けられることが重要なので実践しています。

 

時短勤務でいったん生産性が落ちても、長い目で見ると生産性は落ちません。小企業の生産性はそういう長い目で見る考え方が正しいと思っています。

 

仕事を回すために同業者と協力することもありますが、テレワークのツールを一緒のものにしよう、と声掛けしています。そうすればコミュニケーションもコラボもスムーズになります。

 

大企業の副業が拡大してくれば、個人的なつながりからスキルある人に仕事が頼みやすくなります。これも小企業でより大きな仕事を回す仕組みに発展すればいいと思っています。

 

 
大和印刷株式会社持永様

 

 

デジタル実装に関する取り組みについて
ーNIRA総研における研究調査からーの概要、解説

日本の人材流動性が課題となっていますが、デジタル化が進むことで、国境、企業を超えた人材の移動が発生する可能性があります。

 

デジタル化の影響に関する認識を就業者に聞いたところ、情報漏えいや、セキュリティ被害が増えるなど、嘘の情報が増えてどれを信じればよいかわかりにくくなるといった負の影響に対する認識が強く出ています。

 

正の影響に関するものを年代別に見てみると、若年層ほどデジタル化に対して期待しているということがわかります。

 

デジタル化に対する不安を払拭するような政策が求められると思われます。

 

人材活用の一つとしてギグワークという手段があると考えていますが、就労者に聞いたところギグワークの経験がある人は4%に留まります。

 

企業に対してより一層の副業の活用支援が必要と考えられます。

 

テレワークによって通勤を減らして遠隔地の好きなところに住むことができることについて、比較的肯定的に捉えられているということがわかりました。ただ最近では出社に回帰するような動きも出てきているので、東京1極集中が解消しそうもないと考えられます。

 

中長期的な不安として仕事や収入を失うことへの不安を抱える人は多いので、労働者が失業することなく、成長産業にスムーズに移動して、AIに仕事を奪われたとしてもスムーズな労働移動ができるような仕組みが必要と考えられます。

 


公益財団法人NIRA総合研究開発機構 鈴木様

NIRA総研レポート

 

 

就労地と居住地間の距離に制約なく、人材を活用できる仕組みの提供

今人材業界は、人口減少から来る労働力の不足、求職者のリモートワークニーズの高まり、雇用のあり方のフルタイム出社型からの変化、といった状況におかれています。

 

雇用したいのにできない企業と、就業したいのにできない求職者のニーズと課題のギャップを埋めるために、人材会社としてもオンラインアウトソーシングのような、両者をつなぐ新たなサービスの提供が求められていると考えています。

 


パーソルテンプスタッフ株式会社 植松様

 

 

社員のエンゲージメント向上(事例)

キヤノンマーケティングジャパン様は人的資本の価値最大化を経営課題としてとらえ、「社員の学びたい」、「成⾧したい」という思いを育む働き方改革に取り組んできました。

 

その中でキーとなる課題は社員の「エンゲージメント向上」です。

 

そのために様々な施策に取り組んできましたが、効果的だったものの1つに社内SNSを使った縦横斜めのコミュニケーションがあります。

 

社員の業務に役立つちょっとゆるいつぶやきがオープンに、部門を超えて共有される仕組みになっています。

 


キヤノンマーケティングジャパン株式会社 齊藤様

 

 

部下が何をやっているのか見えないし、上司に相談もしにくい!!

オフィスワークと同じ管理手法をテレワークにも適用するなら「そのとおり」かもしれません。

オフィスにおいては上司は部下の働く様子を見たり、声掛けしながら、進捗や困りごとや相談ごとを聞いたり、助言することで、全体を把握してきました。

ところがテレワークでは部下も上司も目の前にはいませんので、そういった従来のやり方ではうまくいきません。

 

見直すにあたっては、部下が業務開始前に当日の作業計画メモを作成し、終業時に当日の成果をメモし、上司はそのメモを確認する手法が有効です。

テレワークで効率的に働ける人には自律性が必要ですが、メモをベースに作業を進めることで自然と部下には自律性が備わってきます

 

上司は作業状況が日ごとに把握できるので、部下への指導内容と効率が高まり、部下の効果的な育成が可能になります。

 

またこの成果メモは、難しいとされるテレワークの業績評価にも活用することができます。人事部や直属上司に加え関連する部門の上司にも成果メモを共有することで、より公平で納得感のある人事評価につながります。

 


 

 

社員の自律と育成、効率的な進捗管理、納得いく人事評価を可能に!
(リモシア)

「パナソニックフィナンシャル&HRプロパートナーズ株式会社」様(以降PFP)が「マルチアサイン型ワークスタイルにおける実績・評価入力の仕組みづくり」にリモシアを採用!*

 

リモシアを活用すれば働く場所が多様化したり、マルチアサインで業務が複雑化しても、業務進捗の把握が容易になり、報告などのコミュニケーションも円滑化できます。*

 

キーとなるのは従業員全員が自己管理により業務計画と実績を発信すること。これにより全従業員の進捗が見える化され上司が把握できるだけではなく、的確な指示と助言による高い育成効果が期待できます。

 

従業員同士も業務進捗を比較できるため、切磋琢磨し業務の効率化も図れます。

業務実績が記録として残るため、直属上司、関連部署の上司、人事間で記録を共有することにより、従業員の納得性が高い人事評価が実施できます。

 


株式会社リモシア 張様

文末に*が付いた段落のみがPFP様の事例です。


 

 

転職サイトには登録しないDX人材の採用方法
(YOUTRUST)

YOUTRUSTはDX人材など18万人ほどのユーザーが職業などのプロフィールや転職意向を登録、利用する日本発のキャリアSNSで、企業向け採用サービスも提供しています。

 

ユーザーの職種の一例はエンジニア、デザイナー、事業開発、PMなどです。

 

優秀層の人材はそもそも現職に満足しているか、自身のネットワークで転職しており、転職サイトに登録するモチベーションが高いとは言えません。

 

YOUTRUSTにはそういった人材でかつキャリア志向の高いユーザーが登録しているという特徴があります。

 

社員の友達の友達までメッセージを送れるという機能を活かすことで、スタートアップなど知名度の低い企業からの採用のお誘いメッセージでも比較的見てもらえやすいことも特徴です。

 


株式会社YOUTRUST 大前様


 

 

在宅ワーカーを育てて企業とマッチング
(キャリア・マム)

27年前より育児、介護等で働くことが継続できない女性などを支援して、フルタイム勤務が難しい方でも在宅ワークという働き方で、自宅でも、短時間でもチーム型の業務分担制により、在宅ワークによる就労機会を提供してきました。

 

就労を希望する方が3000人ほど会員登録し、委託業務に自営型テレワークという形態で従事しています。

 

これから在宅ワークを始めたい人、関心のある人向けにはeラーニングで教育サービスを無償で提供しています。心の準備から始まって、各種スキルの習得、仕事の探し方や面接の受け方、さらには弊社のマネージャによるメンターサポートも整備しています。

 

企業向けにも在宅ワーカーの採用方法、活用方法などを実績のある事例紹介を含めて、セミナーなどを提供しています。

 

また双方のマッチング交流会を開催しています。

 


株式会社キャリア・マム 村田様

 

 


業務委託という人材確保の方法
田代コンサルティング)

田代コンサルティングは、人事コンサルティング事務所として、業務委託や副業兼業など雇用によらない人材確保や、社員が個人事業主に転向して副業兼業する際などの多様な働き方に係る社内制度の確立や運用を支援いたします。

 

制度を導入するにあたって、社員のモチベーションアップやエンゲージメントの向上といった会社の方針を明確化、副業・兼業のルールを策定、就業規則を改定、社内周知し、運用するまでをトータルでサポートします。

 


 

 


中小企業でDX人材を育成するには
(キャリア・コンサルタント共同組合:CCK)

社員全員のITリテラシーを向上させる必要があり、分かりやすい技術から見て触って体験してもらいます。

 

その中から業務を深く理解し変革できる社員をDX人材として育成します。

 

中小企業のDX化は、コスト削減、収益拡大に直結する業務を対象とします。経営のプロ集団であるCCKが選定を支援します。

 

簡単かつ成果も出るところから徐々に取り組みながら、領域を拡大します。

 


キャリア・コンサルタント協同組合 岡崎様

 

(コラム)テレワークとオフィスワークはどちらが生産的か?

テレワークというと多くの人は在宅ワークを想起すると思われますが、オフィス内や出先におけるWeb会議はテレワークの1類型として都会のみならず地方でも定着しています。またシェアオフィスの開設や活用も活発であり、出先のすきま時間を有効に活用したり、営業拠点とする動きも見られます。このように時間と場所に柔軟な働き方が広まっているのは、利便性を評価されている結果といえます。

 

また多くの企業が経営課題として捉えている従業員のエンゲージメント向上には働きやすさを高めることが必須であり、テレワークはその向上を実現する要素となります。

 

テレであれオフィスであれワークの生産性向上は終わりなき重要なテーマであります。日本生産性本部によると2021年の日本の一人当たり労働生産性はOECD加盟38カ国中1970年以降で最も低い29位に落ち込んでいます。この状況をブレークスルーするにはアウトプットの品質を高めるために、エンゲージメントを向上させること、テレワークを必須の働き方として位置付け、テレワークの生産性を低下させる経営方針、業務プロセス、評価制度を見直し続けることが重要ではないでしょうか?

 

テレワークNEXTにも参加いただいている日本テレワーク学会では「テレワークが労働生産性を向上させる」ことを実証する研究を進めており、今後の成果に期待したいと思います。