企業のテレワーク導入メリットと留意点

宇治:テレワークは社会や就業者だけでなく、企業にもメリットがあると言われています。

村木:もちろん企業にとってもメリットがあると思っています。育児や介護の時に、せっかく育てた社員が辞めなくて済みます。在宅勤務が定着すれば、オフィスのスペース減でもメリットはあると思います。
ただ日本では、仕事はフェイス・トゥ・フェイスという意識が相当強いと感じます。そのため企業側が、テレワークに慣れるには少し時間が掛かるでしょうが、企業が受けるメリットはすごく大きいと思います。

宇治:テレワークの導入に際して、どういうところに留意すべきしょうか?

村木:役所も同様ですが、企業は非常に大事な情報を取り扱っているので、万全なセキュリティの仕組みを構築することが重要です。また職場にいれば上司が見ているし、終業までに仕事を仕上げねばならないという環境があります。
しかし家で仕事をすると際限がなくなるとか、目が届かないというような労務管理上の問題が生じてきます。時間管理をしっかりしなければいけませんし、どこで働いても生産性を上げるために効率的に働くとか、長時間残業は駄目という基本方針を明確にする必要があると思います。

宇治:日本の場合、ややもすると上司の目前で部下が長くいると、仕事を良くやっているという感覚があります。

村木:やはり仕事をした時に、仕事の内容で評価する仕組みが必要です。机に座っていると何か仕事しているような気分になるというのではなく、結果をきちんと評価することが大切でしょう。労働者も守られ、企業も業績が上がる仕組みやノウハウを確立すれば、テレワークは本当に良いことばかりだと思います。

テレワーク導入効果

アメリカではテレワークでより良い働き方を実現

宇治:育児や介護のために休むだけではなく、男女に関わりなく、生産性の向上やワーク・ライフ・バランスを改善するための働き方が求められます。

村木:より良い働き方ということですね。省内の独身の若い人達も、自分の勉強をする時間がないと言っていました。余暇を楽しむとか、自分の勉強をするとかいう意味でも、自分で時間を効率的にマネジメントができるのは大きいと思います。

宇治:外国では、テレワークを積極的に導入しています。

村木:アメリカの労働省へ行った時に、夕方5時になると「子どもの迎えに行きます」と言って会議を出て帰宅する人がいました。仕事のやり方を聞くと、オフィスでかなり集中的にやって、必要があれば在宅で仕事をこなす。そうやって日頃から効率を上げておいて、フレックスと組み合わせたりして、隔週で金曜日は休みにしたりしているという話を聞いて、日本の役所とは随分違うなと感じました。日本でも早く辿り着けると良いと思います。

⇒③政府はテレワーク普及の数値目標を設定して推進