日本テレワーク協会は、テレワークを通じ、調和のとれた日本社会の持続的な発展に寄与して参ります。

入会のご案内

会員インタビュー

滋賀県近江八幡市の在宅勤務取り組みのご紹介


市職員の在宅勤務試行を伝える市の広報誌

滋賀県近江八幡市では、全国の自治体に先駆け2005年4月末から市職員の在宅勤務に取り組んでいます。

第1期(4月25日~7月22日)の3名の職員による試行に続き、10月から始まった約3ヶ月の第2期では4名が試行しています。協会が厚生労働省からの受託事業ととして行っている「在宅勤務の効果に関する検証調査」にも参加頂いています。2005年8月29日川端五兵衞市長と推進部門の方々にお話を伺いました。

在宅勤務に取り組む動機、狙い

近江八幡市の美しい風景(八幡堀)

近江八幡市は、近江商人の進取の気象や倫理観、また今に残る町並み、ヴォ一リス建築、それに加えて広々とした田園風景、琵琶湖、水郷の水辺環境といった質の高い固有の伝統文化と景観、そして我々のまちから輩出した多くの先達の人的風土にも恵まれています。このようなことから、全国に誇れる歴史・文化遺産を活かし、美しい風土を育て守りながら、本市を訪れてみたい、あるいはまた住んでみたいと思うことから始まり、この地で終生住み続け、このまちで生涯を終えたいと思えるような「終の栖」のまちづくりを目指しています。そのためには、理に叶い情に叶う行政が必要で、地域社会の根っこである文化を大切にし、まちづくりを進める「文化力」が必要との認識のもと、あらゆる分野で文化政策を推進する「行政の文化化」に取り組んでいます。横断的、戦略的に文化政策を展開するため、昨年4月に文化政策部を創設するとともに、風景づくり条例の制定や景観法に基づく景観行政団体となるなど、さまざまな施策に取り組んでいるところです。

そして、行政の文化化の取り組みの一つとして、SOHOの時代に在宅勤務により家族ぐるみで住む場所が自由に選べる時代の到来に先駆けて、テレワークの推進に取り組んでいます。これは、これからの時代は情報インフラの整備が大変重要であること、また、高齢化が進む中、今後は在宅介護の必要性が増えてくるとの認識から、柔軟な働き方のできるまちづくりが必要と考えたからです。幸い本市は、光ファイバー等の情報インフラ整備は県下また全国でも際だって進んでいます。

また、20世紀は、「工場や企業、また大きな住宅団地があるからそこに住む。」といういわば職と住に促され人が移動した時代でした。しかし、20世紀型の企業誘致、企業立地にその行政運営の財源を求める手法はすでに過去のものとなり、本格的なSOHOの時代、あるいはテレワークの時代が訪れると言われるこれからの時代には、情報産業や環境産業の集積が進み、2世代、3世代の家族を伴った家族ぐるみでの移動による人口の動態変化も起こりうることを見据えた上で、どのように将来に対してまちづくりの手法をシフトしていくかということも課題となっています。この課題に対する考えのひとつが、いわゆるテレワークであり、このための条件整備として、情報インフラ等の環境を整えていくことが必要です。

地方都市ではおそらく初めてのケースとなる本市職員のテレワークの試行が、情報ネットワークを最大限に活用した新たな産業の創出に向けて、全国からの在宅勤務希望者の受け皿づくりの推進、起業家の育成支援につながることを期待しています。

そして、「終の栖」の時代がくれば、近江八幡市は多くの人を迎え入れることができ、バランスのとれた発展が期待できることから、日々その方向に向けて行政の文化化をはじめとして、あらゆる手だてを用いながら、全国有数の「住んでみたい、住み続けたい」という評価が得られるよう取り組んでいきたいと考えています。

テレワーク(在宅勤務)試行の概要
(1) 試行の目的
試行においては特に情報セキュリティ対策上の課題の抽出や在宅勤務における問題点、業務効率の検証などを行う。
(2) 実施期間・頻度・対象者
第1期(4月25日~7月22日) 企画課副主幹(41)、風景づくり推進室専門員(46)、人権施策推進課参事(55)の3人が試行。原則として週1回以上実施する。第2期は10月から3ヶ月程度で4名が実施。
(3) 業務に使用するシステム
職員の自宅の一室(ホームオフィス)にCATVを利用した「近江八幡市地域イントラネット」回線を敷設し、専用端末機によりグループウェアを利用しながら仕事を行っている。メールや電話を補完するため、上司等とテレビ電話で通話できるようにした。
(4) 勤務管理
勤務時間は通常勤務と同じ午前8時半~午後5時15分。市役所で業務を遂行する際と同様の職務專念義務を負う。1日4回、所属長にメールを送り、着信時間で勤務状況を確認管理している。本試行においては出張扱いでテレワークを実施。安全衛生の自己管理、光熱水道費の自己負担等についての同意書を作成。
(5) 業務内容の設定
テレワークで実施することが容易と思われる業務(※1)について、テレワーク勤務日に実施できるよう予定しておくなど、テレワーク勤務者及び管理者において計画的かつ効率的なテレワークを実施できるよう留意することが重要。また、個人情報が含まれる業務は、テレワークとして実施することができない。
※1
○各種会議資料、内部誌の作成編集
○各種データ入力(データベースヘの入力等)
○条例、規則等起草書面の作成
○通知文書の検討、作成
○各種調査研究の企画、分析
○各種計画書、報告書の作成
○自宅を拠点とした取材活動等
(6) セキュリティ対策
専用端末機からCATVを利用した「近江八幡市地域イントラネット」回線で庁内LANへ接続、さらにVPNにより通信を暗号化し、二重のセキュリティ確保が図られている。セキュリティ対策を適正に実施するため、「近江八幡市職員テレワーク試行事業の運用管理及びセキュリティ対策に関する要綱」を定めた。
(7) 効果
「終の栖」のまちづくりに向けた手法の一つである「テレワーク」を推進するきっかけを作ることが出来た。業務効率の向上が図れた。多様な働き方があることを認識でき、従来の働き方を見直すきっかけができた。
(8) 今後へ向けての課題
①市民の理解を求める必要性:テレワークは首都圏で実施され始めたところの取組であり、社会的認知がまだあまりないと思われる。市民との共通認識を図るため情報提供するなど市民に広く理解してもらうことが必要である。
②仕事の内容:本来在宅勤務では、考えたり企画したりという仕事をすべきだと考えている。在宅勤務にどのような仕事が向くのかをこれから検討しなければならない。
③上司の理解:在宅勤務をうまく進めるには上司の理解を得ることが大切。研修等を行い意識の向上を図る必要がある。
④情報ネットワークについて:前期の試行では、市内に張り巡らされているケーブルネットワーク回線を利用したため市外からの通勤者の実施ができなかった。多くの職員が実施するためにはこの問題を解決することが必要となる。
⑤法的な整備:本格的に在宅勤務を導入する場合には、地方公務員法を見直す必要がある。例えば出勤管理など。現状出勤簿には上司の前で押印することが定められている。
近江八幡市職員研修会

力強い挨拶を行う
川端五兵衞市長。

第2期試行を前に2005年9月13日、市役所近くの「ひまわり館」にて近江八幡市職員を対象に「テレワーク研修会」が行われ、約70名が参加し熱心に耳を傾けました。

はじめに川端市長の力強い挨拶があり、続いて総務部総務課児玉課長より第1期テレワーク(在宅勤務)試行の報告が行われました。そのあと社団法人日本テレワーク協会の柴田事務局長が、「テレワークが拓く多様な働き方」-仕事と生活の両立を可能とする在宅勤務-と題し講演を行いました。


約70名の市職員が参加。
第1期試行の報告を行う児玉課長。

近江八幡市では10月から3ヶ月4名の第2期試行を行い、本年度の試行結果を踏まえ、来年度以降の対応を検討予定です。


テレワークを推進する文化政策部のメンバー。
右から北村部長、立岡次長、冨士谷さま。
   
講演を行った(社)日本テレワーク協会
柴田事務局長。
このページのトップへ戻る